テルミット溶接は、鱗片状に破砕し精整した酸化鉄とアルミニウム粉末の混剤による酸化発熱(アルミニウムによる還元反応)により約3100℃ の溶融材が得られて、これを利用して鉄鋼を接合する方法です。
溶材をルツボ(簡易式溶鉱炉)に充填して点火すると、数秒で巨大な発熱現象を起し、反応生成物は比重差により分離され、溶鋼は下に、スラグは上に浮きあがります。この時溶鋼をルツボの底からレールとレールの隙間にセットした鋳型内に注入して溶接をします。
テルミット溶接方法の特徴は
などから現地溶接に適した溶接方法です。
当社ではテルミット溶接の中でも昭和54年にドイツから導入しているゴールドサミット溶接を採用しています。
この方法は、原理的にはテルミット溶接と同様ですが、
などにより、時間の短い保守間合い(終電~始発)でも十分活線作業が実施できるようになりました。
しかしながら鋳物である為特に振動に弱く、作業現場の場所によっては溶接出来ない時もあります。
古く悪くなったレールを新しいレールに交換する際に古いレールを切断する作業が必要になります。
切断後に新しいレールを線路上に敷設して端面間隔を24mm~26mmに設定し、次に通り・高低の狂いを調整するとともにレールの溶接部が冷却した後において水平を確保できるようキャンバ(逆ひずみ)を設定します。
クランプ装置、予熱バーナーのセットを行いレンガ状のモールドをセットします。
モールドとレールの隙間に砂(モールドサンド)を詰めて、金属をモールド内に充填した際に漏れないようにします。
あらかじめ100℃以上に乾燥したルツボに溶剤を入れた後、溶接に先立ちモールド内の予熱作業を行います。
ルツボ内の溶剤を点火剤にて反応させ、所定温度に達するとオートタップが作動してモールド内部に金属が流れるようになっています。溶接後3分間は振動を与えないようにして溶接不良を防ぎます。
4分間静置後に押し抜き装置を用いて金属の余盛を除去します。
グラインダーによりレールを研磨し、仕上がり規定値内に仕上げます。
浸透探傷検査にて、表面キズの検査を行います。
超音波探傷検査にて、内部キズの検査を行います。
新幹線、在来線、クレーンレール
東海道新幹線建設時に開発された工法で、レール腹部および頭部の溶接時に接合部を水冷銅当金で囲むことからエンクローズアーク溶接と呼ばれています。この溶接工法は現地溶接を目的としたアーク溶接法です。溶接の原理は、被覆溶接棒とレールを電極として、その間に高電流(標準130~250アンペア)により電気アークを発生させ、その熱によって溶接棒が融けて母材の一部とともに溶接金属を形成して溶接をします。
エンクローズアーク溶接の特徴
溶接に軸方向の加圧・圧縮を必要としないこと。テルミット溶接では作業できない場所もできることが挙げられます。
しかし、
といった欠点もあります。
端面間隔を17mm±3mmの間隔に設定し、次に通り・高低の狂いを調整するとともにレールの溶接部が冷却後において水平を確保できるようキャンバ(逆ひずみ)を設定します。
レール底部裏側に銅製の裏当金を取付け、レール底部両端には軟鋼の捨金2個ずつを置いて溶接に入ります。
まずレール端面の両側約150mmを酸素プロパン炎により均等加熱しレール底部において500℃まで加熱します。
溶接棒(径4mm及び5mm)で溶接をレール底部から積層法で始め、一層毎にスラグ除去を行います。
レール腹部・頭部溶接前に水冷治具をセットします。
レール腹部・頭部10mm程度までは溶接部を水冷銅当金で囲み、溶接棒5mmを用い連続溶接します。水冷銅当金でレールを囲むことをエンクローズと呼びます。頭部下10mmより上は溶接棒4mmで積層法にて溶接します。溶接開始から終了時まで把握電流計を用いて電流値の管理を行っています。アークタイムは通常45~60分です。熱処理レールを溶接する場合は後熱処理にかかる時間を含めて約180分です。
熱処理レールを溶接後、後熱処理(焼なまし)を行います。
グラインダーによりレールを研磨し、仕上がり規定値内に仕上げます。
浸透探傷検査にて、表面キズの検査を行います。
超音波探傷検査にて、内部キズの検査を行います。
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